162人が本棚に入れています
本棚に追加
チン
1階。
扉が開き先輩がエレベーターを降りる。
先輩。
1歩、2歩、3歩。
先輩の背中が……遠ざかる。
4歩目、先輩はピタリと足を止めてこう言った。
「呼び止めろよ!」
私の中で何かが弾けた。
胸がいっぱいになって、涙がグッと込み上げた。
大人なのに、たくさんの人の前で目をゴシゴシするくらい泣いてしまった。
子供みたいに……いっぱい泣いてしまった。
「紗優。可愛い」
先輩はからかうようにそう言った。
先輩……大好き。
このセリフ。
私はこの後、上手く言えるだろうか?
H22・12・11 by KAORI
最初のコメントを投稿しよう!