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西日が差し込む教室。
私は1人、彼を待っていた。
コンコン
教室の扉は開いている。
彼はこちらを見ながら、横の扉をノックしていた。
逆光で顔はよく見えない。
私はその雰囲気だけで既に固まっていた。
「来てくれないかと思った」
彼はそう言いながら私の方へ近付いて来る。
「……」
緊張して……言葉が出ない。
私は窓側に近い教卓の横に立っていた。
彼は黒板の前を通り、私のすぐ側までやって来た。
今私は……教卓の1段高い所から、彼に見下ろされている。
このシチュエーションは、何だろう?
位置的にはかなり近い。
逆光でも今なら彼の表情もハッキリと分かる。
「あの……」
私が言い掛けた時。
彼は右足を1段下ろし、そのまま右手を私の頭の後ろに回した。
引き寄せられる……。
彼の顔が少し右に傾き、私の少し開いた唇に彼のソレは重なった。
あまりに突然で、私は目を見開いたまま 彼に唇を奪われた。
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