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「遊真、はいお弁当。」
青と白のチェックのカバンに入ったお弁当を受け取り、「ありがとう」と言うと、遥が顔を綻ばせた。
「二人とも気を付けて行って来てね。」
「ああ。行って来る。」
そう言って互いに顔を寄せると同時に、希美がささっと小さな手で自分の目を塞ぐ。
それを確認してクスッと微笑み、遥の唇に自らの唇をそっと触れさせた。
「ちゅう終わった?」
唇を離したタイミングで希美が恐る恐る聞いてくる。
遥と顔を見合わせて笑い、希美の頭をポンポンと軽く叩いた。
「行くよ、希美。」
声をかけると、希美が塞いでいた手を下ろして満面の笑みを浮かべる。
「ママ、行ってきまぁす!!」
「はい、行ってらっしゃい。」
遥の優しい笑顔に見送られ、希美の手を握ってマンションを出た。
「小学校に入学してちょっと経ったけど、友達は出来た?」
「うん!かなみちゃんて子!あとさゆみちゃんと、えなちゃんと、あとね~」
希美が興奮気味に話すのを聞きながら、学校の前まで希美を送り届ける。
それが1ヶ月前から俺の朝の日課に加わった。
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