親子

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「お金なんかの為に…希美に真実を教えたのか…こんな…まだこんな小さな子にっ!!」 絞り出すような声で言い、男を睨み付ける。 男は一瞬たじろぎ、小さく口を開いた。 「金がないと…俺が死んじゃうじゃないか!この子は真実を知ったからって死んでしまうわけじゃないし…実の父親の俺にはそれくらいの権利は…」 「あると思うのか?」 「……」 射るような目で聞き返す。 男は肩を揺らして視線を泳がし、口を閉ざしてしまった。 その態度にまた腹が立って来る。 俺は大股で男に近寄り、ヨレヨレのワイシャツの襟を掴み上げた。 「わっ!なにす…」 「…お前は良いよな。都合が悪くなったら黙ればいいんだから。逃げればそれで済むんだから。でもな、希美は違う。お前に知らされた真実によって、たくさん苦しんだんだ。この小さな体で…たくさん悩んで…きっとたくさん泣いてっ…」 言いながら、視界が歪んでいく。 男への怒りと、希美の気持ちを考えただけで胸が締め付けられた。 父親だと信じて疑わなかった人が、父親ではなかった。 それを突然、会った事もない人に身勝手に知らされる。 混乱して、たくさん考えて、たくさん泣いたに違いない。
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