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希美がそうやって一人で泣いていたのだと思ったら…俺は辛くて、気づけなかった自分が情けなくて仕方ない。
「…お前は考えなかったのか?この真実を話したら…希美がどんなに傷つくだろうって。だから話しちゃいけないんだと…思わなかったのか!?今あんなに泣いてた希美を見て…お前はなんとも思わないか?胸は痛まないのか!?」
「……」
真っ青な顔で、男の瞳が動揺を映し出す。
そうか…全く考えなかったんだな。
希美の気持ちなんか…こいつはこれっぽっちも考えなかったんだ。
ただ自分の欲のためだけに。
お金を得るためだけに。
希美との血の繋がりを利用した。
「なんで…お前なんかがっ…」
情けなくて涙が溢れる。
なんでこいつなんかが希美と血が繋がってるんだ。
希美はあんなに優しくて温かい良い子なのに。
悔しい。
そんななら、お前の血を俺によこせ!
思わずそう怒鳴ってしまいそうだった。
それをぐっと堪え、再び男の襟を締め上げる。
「俺は痛いよ。希美の気持ちを考えたら…胸が痛くてたまらないよ!家出を考えるまで希美を追い詰めたお前が…憎くてたまんねえよ!!!」
ガッ!!
「きゃああ!」
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