3542人が本棚に入れています
本棚に追加
/67ページ
「…何?二人とも変じゃないか?」
頭にはハテナばかりが浮かび、ネクタイを引き抜きつつ遥に尋ねる。
「…う~ん、たまには遊真への感謝を態度で示そうって、希美と話したのよ。それだけ。嬉しかった?」
「嬉しかった、…けど…」
「けど?」
「俺はいつもの方が良いな。遥と希美が、満面の笑みで元気に出迎えてくれるだけで…疲れが吹っ飛ぶ気がするから。」
照れ臭くて、笑いながら言った。
すると遥も微笑んで、急に俺に抱きついてくる。
「…遥?」
「…遊真の、そういう所が好きよ。愛してる。遊真といると安心して…でもドキドキして。毎日が穏やかなのに新鮮なの。」
胸に顔を埋め遥が囁いた。
途端に胸が高鳴る。
遥の細い体を抱きしめ返し、顔を上向かせてそっと唇を塞いだ。
「出迎えてくれた時の…それとも、の後はなんだったんだ?」
「…分かってるくせに。」
少しだけ唇を離して問うと。
遥の頬が朱に染まる。
「言わないと分からない。」
意地悪く笑って言えば、ポツリと落とされる囁き。
「……わ、たし?」
最初のコメントを投稿しよう!