こたつ

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 いつものように19時5分前にピンポーン、と家のインターホンが鳴る。  僕は、部屋掃除最後の仕上げにこたつの上にある邪魔な物を近くの床に一掃してから、 「おう、鍵空いてっから入ってー」 と言う。  ガチャ、とドアが空く音がして、 「お邪魔します。野菜と肉買ったから、今日は鍋だよ」 と言いながら、コウスケが家に入ってくる気配がする。 「今日も、じゃん」 軽く笑いながら、僕は部屋と玄関の間の扉を開けてコウスケを中に迎え入れた。 「準備出来てる?今から、野菜切ってくけど」 コウスケは野菜や肉が四人分入っているスーパーのビニル袋を丁寧に床に置いてから、着ていた茶色のピーコートを脱いでそれをきれいに四角く畳んで適当に邪魔にならない場所に置き、僕の方を向いた。   コウスケは相変わらず黒ぶちメガネに黒髪に黒っぽい格好で黒ずくしだ。本人に理由を聞いたことはないけれど、黒色が好きなのだそうだ。  僕はコウスケがピーコートを脱いで一息ついている間に、ビニル袋を持ち上げて台所に運ぶ。 「あー、準備出来てるよ」 と言いながら、袋から野菜と肉とタレの瓶などをガサガサだしつつ、まな板と包丁を出しておいたのを指し示す。 「部屋は相変わらず汚いけど、タイシって準備はいつもそれなりにするよね」 「うっせ」 と言い返して、ちょっと振り向くと、コウスケは部屋の中を見回しながら苦笑して袖をきれいにロールしているところだった。 「じゃ、やるか」 コウスケと僕は狭い台所に並んで立って、手際よく鍋の下ごしらえを始める。  それからしばらくして全部の野菜をもうじき切り終わるという頃に、  ピンポーン、とまたインターホンが鳴る。
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