2147人が本棚に入れています
本棚に追加
「まだまだぁっ!」
素早く立ち上がり、遠心力をそのままにミドルキック的な蹴りを繰り出す。
刹那、ミズキが笑った。
ニヤリと……。
「えっ……」
俺の視界は空から地へ。そして背中から盛大に落ちた。
「いってぇ……っ!」
下は草だから本当はそこまで痛くないけど自然と言葉が出る。
一体、なにが起こったんだ?
地面に背中を預けながらミズキの方をチラリ。
フッと嘲笑うかのようにミズキは、もう完全に悪役だろって笑顔を浮かべる。
「体術は私の勝ちだね!」
「……なにやったんだよ」
中段に蹴りを入れて、そこからどうやったら地球に背中キッスが出来るんだよ?
「わかんなかったの?」
マジ? みたいな言い方。
「うん。わかんない」
とマジな俺。
「やったね! レイにも見破れない技発掘!」
イエーイと満面の笑顔でピースするミズキは満足そうだった。
負けちまったか――
まぁ今まで勝ったためしないからいつも通りといえばそうなんだけど、やっぱり悔しい。
男としてのプライドというか、すでにズッタズタのボロボロだけど。負けるのは嫌なもんだ。
最初のコメントを投稿しよう!