―日常―

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                  一年でもっとも過ごしやすい季節、春。暖かい風に空気。  そんな気候のなか、俺は町と言うより村と呼ぶのが相応しいだろう田舎道を歩いている。 「気っ持ちいいなぁ~」  俺の横をごきげんな様子で跳ねるように歩く女の子が背伸びしながらそう呟いた。 「なぁミズキ。何回もそれ言ってると変態にしか見えないんだけど……」 「そぅ? だって気持ち良いんだも~ん」  手を後ろで組みながら、素晴らしい笑顔を俺に送りながら返事をしたのは、俺の幼なじみである〝ミズキ〟。  もう十七才だというのに何処か子供っぽくて危なっかしい。同い年なのだがどうしても年下に見えてしまう。  背中辺りまでのばした黒髪と童顔なのもあるが、もう少し大人になってほしいというのが本音だ。こう、立ち振る舞いとか。  だってさ、十七にもなって蝶を見つけたら喜んで追い掛けるって普通はしないだろ? 「ねぇレイ」  でもまぁ、そこが可愛いんだけど、そばに付いてないと何をやらかすか分かったモンじゃない。 「槍村く~ん? 聞いてますかぁ~? お~い」  こんな風に喋り方も子供っぽいんだよな。可愛いから許すけど。
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