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「ハァっ……ハァっ。急にっ、走るなよ……」
「うーんっ! 体が暖まってちょうどいいじゃん」
なんで息がそんなに正常なんだよ。色んな自信やらが失われた気分だ。
息絶え絶えな俺はしばらく柔らかい草の上に腰を下ろしていた。
ミズキはというと、「とうっ! やあっ!」と、軽く走ったり柔軟体操をしたりと元気一杯だ。
ここは俺とミズキの秘密の、いつも体術や剣術の練習に使ってる林に囲まれた開けた場所だ。
こんな場所だから誰かが来る事はないだろう。
今日剣術用に持って来たのは木刀だが、たまに真剣、いわゆる本物の刀を使った練習もするから人目に付くと色々困る。
通報されるかもしれない。
まぁ、この辺りに俺ん家以外はないし、人なんて皆無だから心配は無いだろうが。
念には念を、な。
「ほらレイー! いつまで休んでんのー? 早く始めよーよ」
「……ったく元気なやつだな。 わかったー! 今行く!」
最初は、剣術でいいか。
ミズキがそうしたいのならそうしてやろう。
俺は持って来ていた木刀二本を持ち、重たい腰を上げた。
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