乗り込み、貪る

7/10
前へ
/14ページ
次へ
黒い車に乗り、5分もたたないうちに倉庫の入口についた。 香織に言われて15分ほど待ったが、まさかタクシーを呼び寄せるとは思わなかった。 「着きましたよ。ここらの住民はみんな怖がって近寄らない倉庫ですよ」 「そうかい。ほら、ありがとよ」 「虎の龍神」 「…なんだ、タクシーの運転手に恨まれるようなことはしてねぇぜ?それともそれじゃ足りなかったか?」 「香織に聞いたんですけどね、俺の頃より今のガキどもはどうもやんちゃが過ぎるらしい、ですよ」 「アンタ、こっちの人だったか」 「今じゃしがない運転手ですよ。気をつけてくだせぇな、やつらキレたら何するか分かったもんじゃねぇ…ですよ」 「おう、ありがとよ」 扉を閉め、倉庫の扉を無理矢理蹴り破る。 「な、なんだてめぇ!」 倉庫には10人と少し、高校を卒業か中退したような連中が大半だ。 その真ん中で、3人の男にまわされている女がいる。 香織に写真を見せてもらったが、あれが友達で間違いないようだ。 話を聞いたとおり、胸がでかいのが印象的だ。 「おいこら、ここがどこだか分かってんのか!」 半裸の男が近寄って来る。 最中だったためか、それともすぐ女に挿入れ直すのか、汚い棒を揺らしながら歩いている。 「タクシーで乗り込むたぁ、てめぇどこのビジネスマンだ、オォ?」 「好きで使ったわけじゃねぇよ」 「すましやがって、ちと痛い目にあわ――ぶがっ!!」 射程圏内に入ったので、前蹴りでぶっ飛ばす。 「汚ぇもんぶら下げながらくんじゃねぇよ」 一撃。沈黙した男をみて、倉庫内の空気が変わる。 喧嘩の独特の空気だ。 奥にあるソファーでくつろぐ、黒革のジャケットを着る男がいう。 「何モンだてめぇ」 ポケットから細長い布を取り出し、拳に巻き付ける。 マジでやるとき、俺はこのスタイルでいる。 それをみて、誰かが気づいたようだ。 「黄色と黒のサラシ…こ、こいつ!虎の龍神だぁ!!」 「おうよ、訳ありで…暴れさせてもらうぜ!」
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加