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「うっらぁ!!」
迫るメリケンを右拳で弾き、その右拳で相手の顔面を捉える。
一瞬の重さを感じ、気合いと共に打ち、放つ。
倉庫に積み上げられた木箱に激突し、吹っ飛んだ男が沈黙する。
「さぁ、随分減っちまったが骨のあるやつはいねぇのかよ」
ふと、一番奥で余裕の表情の男をみる。
「てめぇが頭か」
「ずいぶん生きがいいなぁ、虎」
「気安く呼ぶんじゃねぇよ、黒いテカテカ」
「人をゴキブリみたいに言うんじゃねぇよ」
「なぁ、ユージってのはお前さんの仲間かよ」
そこから比較的近い距離に、青い制服を見つける。
ちゃらちゃらした風貌で、女みたいに伸ばした金髪がやつを色男して演出している。
「え?俺を探してるわけ?」
「てめぇが抱いた女から頼まれたんだよ、観念しな」
「ちょっと待てし。なんで俺が?何も悪いことしてないじゃんよ」
「タダで抱かれるほど安くねぇんだとさ」
「だーから、いい金儲けを教えてやったわけじゃん!気持ちいい事して金がもらえるなんて最高じゃん」
「まずは頭金だとよ」
足元に転がっていた鉄パイプをユージ目掛けて蹴り飛ばす。
強烈な勢いで襲い掛かる鉄パイプにユージが驚きの表情を見せる。
「あ、いけね。当たる」
予想外にも、ユージは避けようともせず反射的に顔をかばうだけだ。
直撃する。そうならば手加減すればよかったと思った瞬間、その鉄パイプは黒革の男に止められる。
「ほぉ、よく止められたな」
「あいにくな、こっちはコイツの顔のおかげで甘い汁吸ってるんだ。そう販売できない顔にされちゃ困るんだよ」
鉄パイプが投げかえされる。
「じゃなきゃ、いい女が抱けねぇだろ?」
「…なるほど、てめぇらが腐ってるのはよく分かった」
「あぁ?」
拳をガツンとぶつけ合う。気迫を乗せ、叫んだ。
「女遊びするなとは言わねぇが、嫌がる女を無理矢理犯すなんざぁ吐き気がするぜ!てめぇが男なら、てめぇでやることのケジメぐらいつけろってんだ!!」
「吠えるんじゃねぇ。てめぇが言えることかよ?」
「その性根に叩き込め!てめぇがしてきたことは痛ぇことだってなぁ!!」
倉庫の床を強く蹴り、黒革との喧嘩が始まる…。
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