乗り込み、貪る

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西高の校門を躊躇なくくぐる。 右も左も青い制服だらけ、その中に混じると俺の黒服は目立つようだ。 ほか何より、金髪が周囲の目を引くらしくものの数分もしないうちに西高の三下どもに囲まれた。 「矢城雄二っているかい?」 「おいコラ、蘭高のやつが一人で乗り込んできてふざけてんのかオォ?」 「矢城雄二って、いるかい?」 「てめぇ聞いてんのかオイコラ!」 「なんだよ、質問くらい答えられねぇのか」 至近距離でガンを飛ばしている男、予想以上に使えねぇ。 人のなりしてるなら会話ぐらい出来て欲しいもんだと、左の拳で顎を打ち上げてやる。 「あばっ!!」 のけ反ったとこに、押し出すような前蹴りで三下どもに返してやった。 勢いがよかったのか、蹴られたやつを受け止めた数人がたまらず転んでいる。 「てめぇ!殺すぞオォ!!」 「矢城雄二はいるかい?」 「ふざけたこと抜かし――がはっ!」 「お前も人じゃねぇ」 威勢がいいだけで答えない男の鳩尾を、つま先で深く蹴り込んでやる。 それを合図に5人ほど飛び掛かってきたが、片手でその中の1人をぶん殴ってやったら静かになった。 5メートルほど飛んで、殴られた男が落ちる。 「お前ら、矢城雄二のグループか?」 「い、いや…。あいつは嫌われもんだから、ウチじゃどこの派閥にも…」 「じゃあお前らに売る喧嘩はねぇ。矢城雄二の居場所だけ教えてくれや」 「お、お前1人でやるのかよ…。あいつの後ろには――」 「んな事知ってるっつーの。さっさと教えな」 「…まさかあんた、虎の!?虎の龍神じゃ――ぐはぁ!!」 前蹴りでこいつも外野に捨てる。 「なぁ、人の子いねぇか?さっきから質問に答えがかえってこねぇんだけどよ」 やっと素直に話すようになった青服に居場所を聞き、何事もなかったかのように校門を出ていく。 「港の古倉庫か。どう行きゃいいんだ?」 携帯を取り出し、まだ新しい番号に電話をかけた。
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