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その人は長く黒い髪を後ろでハーフアップにし、前髪も引っ詰めている。額には葉の様な模様が描いてあり、それに被らないように大粒の硝子が付いた髪飾りを全体に巻き付けている。服装は砂漠を歩いてきたであろうローブを纏っている。
背丈や外見から15歳前後か?
「す、すみません……!わたくし、人を探していましてっ……」
なんだか緊張しているような面持ちで話し掛けられ、夕月夜もつられて若干焦りだすも顔には表れない。
「こ、こちらに、“妃神子”様はいらっしゃいますか……?」
「………………………はぁ?」
思わず出た言葉がそれだった。
何も考えずに言ってしまった夕月夜だが、相手を怯えさせるには充分な効果があった。何せ夕月夜は顔が無愛想で怖いから。
一瞬怯んでいた彼女だが、怯えながらも話を続ける。
「も、申し訳ありませんっ。妃神子様というのは、その……此処ではない世界から、いらした方で………」
──────!!!
この子は柚月のことを言っているのか?だとしたら柚月に会わせるべきなのか?悪い奴には見えないが…しかし……
「……少し此処で待っていてもらえないか?」
「は、はいっ」
了承を得て夕月夜は奥の柚月に今の話を伝えた。本人の意志を尊重しようと思ったからだ。
「その子と会って話してもいい?」
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