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「それで、気が付いたら砂漠にいたっていうのか?」
夕月夜の問いにコクンと頷いた。
「………お前、バカか?
砂漠はそんなに甘いもんじゃねぇ!俺がたまたま通り掛かったからいいものを──」
説教されてしまった……
しかし彼の言う通りだ。もしあのまま彼に発見されなかったら、と思うと急に怖くなってきた。
先程まであまり現実感がなかったが、これからのこと等を考えると不安で押し潰されそうになる。自然と体が震え出す。
「……………行く所がないんだろ?おとなしくするなら此処においてやる。」
最悪な状況を考えていた柚月には、彼の、夕月夜の申し出は意外なものだった。
「疑わないの?」
「本当のことなんだろ?それとも、嘘吐いたのか?」
金色の瞳が真っ直ぐに柚月を捕らえた。
確かに嘘は吐いていない。
しかし異世界から来たなど到底信じられるものではない。
それを容易に信じた。
「ありがとう、夕月夜」
単純に嬉しかった。
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