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その人は、顔を上げると、私に気がついた。
優人君だ。
すると、彼は私の顔を見るなり、本を片付けている。
そして、反対方向の階段に向かって、足早に去って行った。
追いかけようと思ったけど、足が動かない。
彼が消えたのを確認すると、また一つ、大きなため息をついて、本棚へと向かった。
これは今回に限ったことではない。
最近、いつもだ。
なぜなんだろう。
理由は全くわからない。
彼は私を見るたびに、こうやっていつも避けようとする。
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