第一章

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あの町で新しい生活が始まる。 普通は胸が踊るような状況かもしれない。 しかし俺は何か違う。 心の中に不安があるか? そう聞かれても、答えは『ない』だ。 だからといって期待も湧き起こってこない。 だとしたら興味がないのだろうか? 自分でも自分の気持ちが理解できない。 通路をはさんだ横の席では、さっきの子供が今度は泣きじゃくっていた。 その隣では母親が周りの目を気にしながら必死に子供を落ち着けている。 何であんなにも感情を表に出せるのだろうか…… そんなことを考えているうちに、バスは市街地に入り、大きな交差点を曲がった。 そして、アナウンス。
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