トイレ籠城事件

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兄「図書室?」 女「そうそう。久々に行こうよ」 兄「図書室……ねぇ……」 女「ありゃ?何か問題あり?」 兄「いや?別に。」 (翔くんが好きです。大好きです) (お前には彼氏居るんだろ?駄目だよ) (でも……グスッ……好きなの……グスッ) 兄「ちょっと思い出しただけ」 女「………………あー」 兄「まあ、思い出巡りってことで」 女「そだね………」 図書室 女「懐かしいなー。ここ」 兄「図書委員なんて二度としない」 女「なんで?」 兄「静かに放課後過ごせると思って入ったのに」 女「ああ、女子でいっぱいなっちゃったもんねー」 兄「全然静かにならなかったよな」 女「その時私も図書委員で………」 兄「去年の放課後に告白された」 女「………………………結局、私は彼氏と別れて」 兄「でも俺は断った」 女「うん。当然だと思うよ。今だからわかるよ、あのときの私は汚かった」 兄「そんなことない。人を好きになればみんなそんなもんだ」 女「でも、翔は気に入らなかったから断った」 兄「まあ、否定はしない」 女「……………………」 兄「いいじゃねえか。昔の話だよ」 女「たった一年だよ」 兄「一年でも一日でも、昔と思えば昔だよ」 女「そう………」 兄「うん」 女「……………………」 兄「……………………」 女「ねえ」 兄「なに?」 女「……………今なら?」 兄「……………なにが?」 女「………今なら、答えは変わる?」 兄「……………多少な」 女「………じゃあ、言ってみたいな」 兄「………やめとけよ」 女「翔、私ね?」 兄「………やめとけ」 女「あなたのことが今でも………」 兄「やめろよ!」 女「っ……!」 女「どうして………?」 兄「もう……いいじゃんか。お前の事は好きなんだ。この距離の、今の状態が好きなんだ」 女「……………………」 兄「わざわざ壊さなくても、いいじゃん」 女「……………いつか」 兄「ん?」 女「いつか、答えは完全に変わる?あのときと」 兄「さあ……かわるかもな」 女「………そっか」 →
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