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今日の僕は、ちょっとおかしい。
ある女の子のことが気になって仕方がない。
こっちを見ないかな、なんて考えて、さっきから何度も彼女の方を確認してしまう。
「おい、古泉!お前の番だぞ?」
「え?あ、すみません…」
「どうした?さっきから窓の方ばっかり見て」
気付かれていた…。
「あ、ちょっと雨がふらないか気になってしまって」
咄嗟にした言い訳は、
「バーカ、快晴だぞ?」
「……」
見事、失敗。
それから、またしばらく、彼とのボードゲーム対決が始まった。
どのくらいたった頃だろうか。
彼が突然立ち上がり、涼宮さんの方へ歩いていった。
「おい、ハルヒ、俺と古泉は用があるから先に帰るぞ」
は?なんのことですか?
「えぇー?キョンがいないなんてつまんないわね、でも仕方ないわ!これからはできるだけそういうことが無いように!」
「へいへい。行くぞ、古泉!」
そう言うと、彼は僕の手を取って歩きだす。
***************
しばらく歩いたところで、彼は歩みを止め、僕の方を向いた。
「なぁ古泉、さっき何見てたんだ?」
「いえ、ですから天気が…」
「誤魔化すな」
「…長門さん、です」
素直にそう答えると、彼は一瞬驚いたような顔をしたあと、妙にニタニタと笑い始めた。
「なんだ、長門か。俺は、またお前がハルヒの機嫌をビクビクしながら伺ってるのかと思ったぜ」
「涼宮さん、ですか…そういえば、今日は一度も彼女の機嫌を気にしていません」
「朝から長門のことばっかりか?」
今日の彼は気持ち悪い。
「なんでそんなにニタニタしてるんですか」
「さぁな、なんでだと思う?」
「わかりません」
「じゃあ、自分で気付け」
最後にそう言った彼は、1人でさっさと帰ってしまった。
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