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-有希side-
数日前、私は初めて古泉一樹と2人きりで接触した。
その日の放課後、いつものように1人で部室にいると、古泉一樹が走って近づいてくるのが分かった。
あと10秒…
バンッ
「はぁはぁ…あれ、長門さんだけっ?」
「そう」
「なんだ…遅れたかと思って走ちゃったよ…」
「何故?まだ部活開始時間までは数十分ある」
「えっ…本当だ。1時間見間違えてた…恥ずかしい…」
「…敬語じゃない」
「あっ、すみません!うっかりしてました。…不愉快でしたか?」
ふるふる
私は首を小さく横にふった。
敬語を使わない古泉一樹は、不思議と可愛らしく見えた。
その時私は、自分がすごく穏やかな気持ちになっていることに気が付いた。
何故?
確かに古泉一樹が可愛らしく見えた。
だけど、それが私の精神面に反映しているのだとしたら、何故なのか分からない。
「……長門さん」
「なに」
「今、一瞬笑いました?」
「私、笑った?」
「笑っていた気がしたんですけど…」
笑う…
気付かなかった。
「おっまたせー!」
「あれ、2人だけ?新しいコスプレ持ってきたのに…」
それから古泉一樹は、自分の定位置につき、私達の会話は終了した。
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