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ま、気に入ってる。
それが俺から見る東堂夕梨。
それなりに可愛くて、きちんと仕事もするタイプ。
同期で同じ課だからよく話すけど、落ち込んでる時に絡むと特に面白い。
俺は斜め向かいの机に座る東堂を一瞥して、こないだのキスを思い出した。
キスしたらときめくのか、実践してみたんだけど。
少しくらい、狼狽えると思ったんだけど、な。
全く動じないし。
俺オトコだと思われてないワケ?
それとも東堂がオンナ捨ててんのか?
ただ触れるだけの、キス。
「やわらかかった、な」
あれ?俺って、変態?
* * *
「今日は定時で帰ります。
お疲れ様でした」
課長にそう告げて、タイムカードをきって帰ろうとする東堂。
「デート?」
そう声をかければ
「明日返さなきゃいけないDVDがたまってんのよ」
と返事が返ってきた。
ホントかよ?
「へぇ、どんなの見るの?」
「ホラー」
ホラーって…
一人でホラーって…
俺、今ヘンな顔してんのかも。
東堂が軽く睨んでる。
「なによ。
一人でホラー見ちゃ悪いワケ?」
「いや、そうは言ってな」
「じゃあアンタも一緒に見る?」
言い切る前に東堂がそう言うから。
思わず、頷いた。
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