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しかし、こんな現実を受け入れられる訳もなく、私の頭の中は混乱している。
―落ち着け、これは夢だ。夢に決まってる!!
夢から覚めようと、頬をつねる。
グイッ
「ーーーっ!!!!」
思ったより力が入ったらしく、涙目になりながら、つねった所をさすっている。
「…お嬢さん、大丈夫かい?…………特に頭」
黒猫は呆れ顔で聴いてくる。
「最後の“特に頭”って何!?ひどくない!!?」
「ひどくない、ひどくない」
悪びれる様子もなく、黒猫は言う。
―多分、こいつには何言っても無駄だ…
そう悟ったときに、ふと私の中に浮かんできた疑問を口に出していた。
「猫さんは、どうして私を呼び止めたの?」
黒猫は思い出したかのように手を叩いた。
「あぁ、そうだった。いやな、お嬢さんに昔話をしてやろうと思ってな」
沈黙。
「それだけ?」
「それだけとはなんだ!!!」
黒猫は怒ったかのように地団駄を踏みはじめる。
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