始まり

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昔、放火魔による火事で自分以外の家族を失った。しかも、その放火魔の理由が 『幸せそうな空気をぶち壊してやりたかった。気に入らないからやった。』 ・・・というものだった。許せなかった。そんなことがなければ幸せだったのに。心は怒りと哀しみで一杯だった。 ソシテ、ボクハコワレテイク。 引き取ってくれた叔父夫妻はいい人だった。仮初めながら幸せをくれた。だけど、中学生ななる頃に飲酒運転の事故に巻き込まれて再び僕だけが生き残った。その運転手は、終始自分は悪くない、悪いのはぶつけてきたそっちだと言い続けた。こんなやつに叔父夫婦は殺されたのだと思うと悔しかった。この頃から感情の起伏が小さくなった。 ソシテ、ボクハコワレテイク。 次に引き取られた伯父夫婦は最悪だった。いつも喧嘩ばかりしていて、どちらもそのあと自分に当たってきた。お前が来たせいだと怨み言のように繰り返しながら。この頃には感情なんてほとんどなかった。 ソシテ、ボクハコワレテイク。 その状況から逃げ出すために高校は遠いところにある寮がある学校にした。だが、もうすでに自分は壊れる寸前だった。 ダガ、ソコニ そして、自分は神楽紗英に出会う。自分を直してくれた、一生の恩人に。唯一、自分が愛す人に。
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