始まりと終わりの日

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俺は親父と言うより1人の大人として親父を見てきた だからばぁちゃんの葬式を途中で抜けてもイラつきはない 親父にとって俺って存在は出世のための道具であり、ばぁちゃんは家政婦なのだ 結婚していたり子供がいないと幹部職になれないことがある 親父はそのために俺を必要とした 大人ってやつは何処までも腐ったやつなのだ いや…十人十色 親父が異例なのかもしれない 俺はそんな事を思いながら親戚が玄関に集まったのを確認した 「みなさん…今日はばぁちゃんの為にわざわざありがとうございます。俺は…いえ、ばぁちゃんは幸せだと思います。ちゃんと天国に行けるように」 そういって持っていた茶碗を落として割ったのだった この村には亡くなった人が生前に使っていた茶碗を割ることで現世に未練を残さず逝くべき場所にいけるって風習があったのだ
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