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そして、福島県で発生した原子力発電所の水素爆発。私たちの暮らしを支えていた原子力が、日本に住む人類に牙を剥いた。怒りと恐怖が、私の心の中で膨れ上がる。
夜になると追い討ちをかけるように、東京電力が記者会見を開いた。電力不足を危惧し、各地で計画停電が実施されることが決定したのだ。
それがテレビで報道された直後、役所からの防災無線が静まり返った夜の街にこだました。
「明日、朝六時二十分より計画停電が予定されています」
このアナウンスが繰り返された。停電によってもたらされるであろう、情報の遮断と暗闇への不安感が、私の身体を休ませることすら許さない。
なぜか東京23区はその計画停電から除外されているという。羨ましさと怒りが私の心を掻き乱した。
しかし、結果として翌日私の住む地域は計画停電を免れ、仕事が休みになることはなかった。それに伴い疲労もピークに達する。
この事態が私の心に、最大の苛立ちをもたらすことになったのだ……。
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