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そんな生活が続く中、一人の患者がこんな言葉を口にした。
「私たちも我慢しなきゃね。被災地はもっと大変なんだから」
この言葉に、私は反応した。
「我慢? 毎日電気治療を受けて、必要以上の物を買い占めることのどこが我慢なんだよ!」
心の中でそう叫んだ。戦争中に比べれば、まだましだと言うのだ。
そういう問題ではない。都民が必要以上に買い占めることで、本当に困っている被災地に物資が届かない。本末転倒だ。
結局、人間は傲慢で欲深い生き物なのだ。私も含めて。そんな現実に直面し、無性に嫌気がさした。
それからは似たような日々が過ぎる。
余震、停電、不安、怒り、焦り、疲労。
変わったのはテレビで報道されるニュースの時間。
徐々に減っていき、日常に近付いていったようだった。
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