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三月十一日、金曜日。
今思い返してみるとその日の朝は、いつもとは何かが違った。言葉に現せない胸騒ぎに、早朝目が覚めた。とんでもないことが起こるかもしれないと、ふと思った……。
私は都内の整形外科で働いている、リハビリ担当スタッフだ。午後二時四十五分、三時からの診療の為に準備をしていると、その悪夢は突如襲いかかった。
地面が揺れたのだ、カタカタと。最初は「また地震がきたんだな」と冷静だったが数秒後、それはとてつもない焦りへと変わる。
「おかしいぞ、かなり大きい」
リハビリ担当のチーフが告げると、立っているのが困難なほど揺さぶられた。建物が軋み、治療器具が動く。
大地震という獣が東日本に牙を剥いたのだ。
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