悪夢

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「大丈夫だった!?」  開口一番そう叫んだ私に、家に居た母は「何とか」と短く答える。携帯電話とテレビのリモコンだけを抱えて、リビングの椅子に座っていたらしい。  リビングに置かれたテーブルの上に有ったものは半分、床に散らばっていた。朝とは全く違う。  続いて恐る恐るキッチンへと向かうと、次の瞬間唖然。  戸棚から落下したのだろう。ワイングラスとお皿が粉々に割れ、破片が床を埋めていたのだ。 「何これ……」  思わず口から零れた言葉に片付ける気力さえ失う。それでも、状況把握をするために確認を続けた。  私の部屋は本やCDが散乱し、足の踏み場が限られていた。溜め息をつくしかない。唯一綺麗なままのベッドに、力無く座り込んだ。
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