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「大津波警報が発令されています! 海岸付近から避難してください! 繰り返します!」
テレビではアナウンサーの叫び声が、緊迫感を引き立てている。チャンネルを変えるとそこに映し出された青い海が、今まで見たこともない渦を巻いていた。
「これ、危険だよね……?」
独り言を呟き、手が動きを止めた。視線が釘付けになる。
この津波こそが最も尊い命を数多く奪い去ることになるのだが、それを目の当たりにするのはもう少し先のことだった……。
テレビでは同じ情報が繰り返され、帰宅難民が至るところに溢れている。何人もの会社員や学生が、徒歩で家に向かっていたのだ。
“最悪な一日”正にその言葉が相応しい日になってしまった。
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