姉と妹と純愛と狂気

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寒さが本格的になってきた十二月の冬。外には雪が降り積もり、辺り一面が銀世界となっていた。 「わぁ、美鈴お姉ちゃん! 雪が積もってるよ!」 家の窓から見える真っ白な雪景色に、アリスは目を輝かせた。朝に弱いアリスだが、大好きな雪を見て一気に元気が出た様だ。 「ふふっ、そうですね! とても綺麗です。 アリス、朝食ができたのでマスターを呼んできてくれませんか?」 妹の嬉しそうな姿に、姉の美鈴の顔にも思わず笑みがこぼれる。 「はーい!」 元気良く返事をしたアリスは、小走りでマスターの部屋へとかけていった。 「お兄ちゃ~ん!」 お兄ちゃんとは、アリスと美鈴のマスターである椿のこと。アリスはマスターのことを親しみを込めてお兄ちゃんと呼んでいる。 「あれ? 寝てるのかな?」 アリスが部屋の前に立って椿を呼ぶが返事が無い。 「入るよ~」 このままでは椿が寝坊してしまうので、起こさなくてはとアリスがゆっくりドアを開けて部屋の中を覗く。 「やっぱり寝てる。 寝坊助さんにはイタズラしちゃおっと」 気持ち良さそうに寝ている椿を見たアリスは、良からぬことを思い付いたのか、微笑みを浮かべながらベッドに近付く。 「よいしょ……っと。ふふっ、良く寝てるなあ。お兄ちゃん! 起きて!」 ベッドの上の椿に股がったアリスは、大きな声と共に椿の体を細い腕でゆさゆさと揺らした。 「んぅ……なんだ、アリスか……」 「お兄ちゃん起きて! 美鈴お姉ちゃんがご飯用意して待ってるよ!」 「分かった分かった。頼むからそこから降りてくれ、苦しい……」 「はーい」 アリスはそう言われると、少し残念そうな顔をしてベッドから降りた。 「アリス、俺この寝間着着替えてから行くから先にリビングに戻ってろ」 椿がアリスの頭を軽く撫でると、嬉しそうな顔を浮かべて「早く来てね」とだけ残してリビングへ戻って行った。 「あ、お兄ちゃん来た!」 「おはようございますマスター!」 身仕度を終えてリビングにやって来た椿を美鈴が丁寧に出迎えた。テーブルには朝食が用意されている。 「では早速、朝食をいただきましょうか」 美鈴が最初に手を合わせる。それに続いて椿とアリスが手を合わせ、三人一緒に「いただきます」と頭を下げた。
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