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父が「おじいちゃん、こんな風で驚いたでしょ?声掛けてあげて」って私に言ってきた。
でもなんて言えばいいのか、私にはわからなかった。言葉を忘れてしまったかのように、父に返事もすることはできなかった。
ただただ、私はその病室の一角で突っ立っているだけしかできなかった。
そんな私に見かねて、父が祖父へと話しかけた。
その会話の内容は覚えていない。
とても覚えられる状態じゃなかった。
会話を終えたのか父が「部活に行きな」と言ってきた。
私は金縛りが解かれたかのように身体が動くようになり、「いってきます」の一言を言うのがやっとだった。
そのまま病室を出て、逃げ去るように病院からも出て、部活へと向かった。
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