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次に私が祖父の元へ訪れたのは、修学旅行へ行く前日だった。
もうそのころには、いつ死んでもおかしくないと言われていた。
実は母も、その頃階段から落ちて左手首を骨折していた。そのため、骨を金具で固定する手術を控えていた。
私は行くのをやめる、母は手術の日程を変えると言っていたのだが、修学旅行は一生の思い出だし、手術は出来るときにしたほうがいいと言われた。
仕方なく私や母は、行くことにした。そのため、母と共に出発の挨拶にやってきたのだ。
またしても私は何も言えなかった。言葉が頭に浮かばない、口から出すことができなかったのだ。
母が私の分までしゃべってくれている。
ただそれだけを漠然と感じていた。
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