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「…誰もいないじゃん」
「なに、亜季、もしかして信じてたの??」
「やっぱり所詮噂かぁ。8クラスもあるからいまだに知らない人いるし、ちょっと期待したんだけどなぁー」
「ないない!!どーする??」
「屋上とかめったに来ないし、満喫しよ」
そう言った亜季と一緒に
フェンスの近くに腰掛けたとき。
ぶわっ…
気持ちいい、風がふいた。
「さすが…うちら今空に近いね」
亜季が周りを見渡す。
「あれ…何??」
あたしの目の前に落ちている
黒い物体が目に入る。
あたしは立ち上がり、それを拾う。
「…学ラン???!」
名札もついてないし、誰の????
「わりぃ」
突然聞こえた低い声。
「へっ??」
声の主を探してキョロキョロするあたし。
「ここ」
ポンッと肩を叩かれふりむくと。
風になびく ブラウン色の髪。
少しきつめだけど どこか安心させる目。
長身だけど男らしい体つき。
遠くから見ている亜季の顔が
想像できる。きっと目をハートにしている。
「でさ、その学ラン」
「あっああ!!すいません」
「や、さんきゅ。あんたって三年?」
…初対面であんた呼ばわり??
何様のつもりなの、この男!
「さ、三年だけど」
「俺も!何組?」
なに、スマイルみせてんの??
てゆうか学ラン早く受け取れよっ!!
心の中で必死につっこんでるけど
男子とあまりしゃべらないあたし。
それに相手は超美形…
緊張している。
胸が苦しい。
なんだろう、この感覚。
甘くて。切なくて。
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