1 ~boy meats girl?~

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風呂はとても広く、一人で入るのはもったいない気がした。 「ふぅ・・・麗香、か・・・可愛い子だったなぁ・・・」 オレの頭に麗香の顔が浮かぶ。 「せめてメアドくらい貰っておけばよかったなぁ・・・」 なんにせよ、時間は沢山あるのだ。 湯船に浸かりながらオレは考えた。 「オレは・・・高校に入ったら青春できるかな・・・」 中学時代は部活だけじゃなく、仲の良い女の子は何人かいたものの、オレも友達だという意識が強い←(ここ重要)等の理由により彼女はいなかった。 その分、男子や部活仲間とはかけがえのない友情を手にいれたが。 決して、オレが、モテないわけじゃないんだ・・・っ・・! 「とにかく!」 全裸もいとわず、ザバっと湯船から出る。 拳を掲げ、 「オレは高校で彼女を作る!そして勉強して、部活もやって、思うまま青春を謳歌してやる!!」 と叫んだ。何か上の階からバキッという音が聞こえた気がしたが関係ない。 そのまま体をふき服を着て風呂場を出る。 体に決意と力がみなぎっていた。 「待ってろよ・・・オレの春!!」 と自分を鼓舞していると、 『ピンポーン』 とチャイムが鳴った。 まさか・・・麗香か!? 期待に胸を・・・いや、夢を膨らませ、玄関のドアを開けた。 するとそこには、髪を紫に染めた、いかにも大阪風のオバハン(失礼!)が怒り心頭で立っていた。 「あんたねぇ!!新しい人でしょ!?」 「は、はぁ・・・」 期待を打ち砕かれたのと、勢いに押されてしょんぼりと返事をする。 「さっきからうるさいの!あたしゃ上の階なんだけどね、叫ばないで!」 と言ったかと思うとバタンとドアを閉められた。 ・・・オレの家なのに・・・ ちなみに、このマンションは高級な上、一部屋が広いため一階ごとに一家族という贅沢な造りをしている。 夢を打ち砕かれたオレは、その場にがっくりと膝をついた。 「母さん・・・オレ・・・生きていけるかな・・・」 オレにとっての春は、まだまだ遠かった。
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