1177人が本棚に入れています
本棚に追加
「お、お前は・・・まさか、ゆ、雄二か!?」
「やっと思い出したか。久しぶりだな」
ニヤリと口の端を持ち上げる。
この野性味たっぷりの顔は見覚えがある。
小学校の時、一番仲のよかった悪友。
吉田雄二(よしだ ゆうじ)だ。
中学校は学区割りの関係で別になってしまったが。
「お前、なんでこの学院に!?」
「俺は、女の子との出会いを求めてここに来た。勉強と容姿だけがモテる要素じゃないって、証明したくなってな」
確かに、コイツはブサイクではないものの、その野生っぽさからあまりモテてはいなかった。
「んで、こっちが、、、忘れた」
「ちょっとちょっと!忘れたとか言わせねぇよ!?」
もう言ってるけど。
そう叫んだ男はメガネの痩せた男だった。
いかにもイジられキャラの男だ。
「オ、オホン!おれの名前は藤田薫(ふじた かおる)!この御方の考えに憧れて会の一員となった!」
「ただの数合わせだ」
「そんな!?」
・・・目の前で妙な寸劇が繰り広げられている。
どうでもいいけど、この縄解いてくれないかな・・・
いい加減、先生を呼ぼうかと思っていると、ちょうどいいタイミングで先生が入ってきた。
「ぐっもーにーん♪」
いや、先生じゃなかったな、生徒か・・ってそんなわけないだろ!?
先生は先生だけど、、、お、幼くねぇか!?
まるで同年代のようだ。
童顔に、小柄な体。
中々愛らしい。
「ほら!お前ら朝から暴れてねーで席に着け!」
先生の鶴の一声により散り散りになる審問会の面々。
周りを囲っていた暗幕が取れると、麗香を含むクラスの半分以上の割合を占める女子達が冷たい視線と共にお出迎えしてくれた。
「あ、、、あの、、、あはは・・・」
恥ずかしさで死にそうである。
もう一度言おう。どうでもいいけど、この縄・・・解いてくれないかな・・・
最初のコメントを投稿しよう!