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「・・・です。よろしく」
淡々と過ぎる自己紹介。
面白い事を言おうとしてスベるおきまりの奴から、三秒で終わらせる強者など、様々な奴がいて面白い。
これがさっきまでマントをかぶっていた奴らかと思うと不思議な気分だ。
「・・・です。よろしく」
そしてオレの前の子(勿論女の子)が終わった。
ついにオレの番か。
こういう時は、出だしが肝心。
明るく気さくな好青年のイメージをださないと!
「えー、桐生匠海です。匠海って呼んでください。」
オレが挨拶した瞬間、女子が騒ぎ始めた。
(ヤバイ!あの人カッコよすぎ!)
(ファンクラブ結成決定ね!)
顔を赤くしながら内緒話し始める女子。
そんなに嫌わなくても・・・
だが今は悲しんでる場合じゃない。
さて、なんて言おう。
しばし考えていると、雄二が横から助け船を出してくれた。
「小学校の時のあだ名は『淫乱大魔王』です」
うんうん、やっぱり持つべきものは友達だね。
こういいかんじにイメージがってちょっとぉぉ!?
「何言ってんだ雄二ぃぃー!」
ざわざわ。
あちこちから
「マジかよ・・・」
といった声があがる。
チラッと麗香を見ると、悲しそうにこちらを見ていた。
「みんな!信じちゃダメだ!小学生が『淫乱』なんて言葉、知ってる訳無いだろ!」
「・・・お前、エロは否定しないんだな・・・」
クラスのみんなは
「ツッコミ所そこ?」
という顔をしていた。
あれ?
何か間違えた?
「と、とにかく!気軽に話しかけて下さいっ!」
オレは体に刺さる、氷の視線を浴びながらLHRを過ごした。
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