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教室に入ると沢山のクラスメイト達がうちひしがれていた。
近くでニヤニヤしている雄二に尋ねてみよう。
「雄二、あれは何の祭なの?」
雄二は顎で教室にある掲示板を指した。
なになに・・・
そこには、
『桜欄学院生徒会主催新入生歓迎ダンスパーティー』
とあった。
ふむふむ。
「で、これがどうしたのさ」
「相変わらず、お前は計算以外てんで駄目だな」
む、失礼な。
「とにかくなんなのさ」
「ダンスは男女のペアが基本。その相手をメールで予約してるんだ」
なるほど。
そんな羨ましい事をしているのか。
そんな事をしてるなら、オレの中の衝動も大きくなるわけで・・・
「ねぇ雄二。今日爪を切るの忘れちゃったから、ナイフか包丁をかしてくれないかな。あ、日本刀でもいいけど」
昔、剣術を習っていた事のあるオレは、棒や剣があればめっぽう強い。
「そうか。んじゃ俺がナイフで切ってやる。指をだせ」
「ちょっと待って。普通爪をだせだよね?」
こいつならやりかねない。
「ったく・・・すぐ熱くなるな。もうペアが決まっているなら今頃うちひしがれてねぇよ」
「そうか。それもそうだね」
ふぅ、危ない危ない。あやうくクラスメイトを手にかける所だった。
それにしてもダンスパーティーか・・・
麗香と一緒に行けたらなぁ。
ふと麗香を見ると、熱心に誰かに話しかけていた。
その女子生徒は、小柄な体に左右に結った髪がよく似合う美少女だった。
しかし、顔にはまったく表情が無く、麗香が必死に話しかけてもあまり興味を示そうとしなかった。
遂に麗香は諦めたようにその場を去り、その美少女はオレが見ている事に気付いたのか一瞬目を合わせたものの、すぐ反らされてしまった。
何か気に食わない事したかな・・・
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