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「さっき話してた子って、あんまり人と話さないの?」
授業がまだ始まってないこの時期は、掃除をしたら帰りとなる。
その掃除の時間に、ゴミを捨てる当番に当たっていた麗香を手伝い、その途中であの少女について聞いてみた。
「あぁ、神楽葵(かぐら あおい)さんですか?神楽さん、中学の頃も同じ学校でしたけど、あまり人と接さない性格だったみたいです」
「人見知りする性格とか・・・?」
「私、神楽さんもみんなと仲良くなれたらいいのにって、思ってるんですけど・・・」
偽善じゃない麗香の気持ち。本当に優しい子だな。
それにしても神楽葵さん、か。・・・笑顔が似合いそうな可愛い子なのに、もったいないなぁ、とオレは思った。
二人は校舎をでて、裏庭に入った。
ここにはオレと麗香の他、誰もいない。
オレはふぅっと肩の力を抜いて呟いた。
「ふぅ・・・なんかホッとするなぁ」
さっきから二人で歩いていると周りからの視線が異様に鋭かったり、熱っぽかったりしていたたまれない。
男子に会えば目が赤く光りかけるし、女子に会えば、目を合わせただけで顔を紅くしてそっぽを向かれてしまう。
そんなに恥ずかしい顔してるのかな・・・
「やっぱり気にしてましたか?みんな見てましたもんね」
「いや、大丈夫だよ。緊張してただけ。スグに慣れるよ」
九割方君と歩いているからだ。
とは言えず、オレは笑いかけた。
すると麗香もつられて笑顔になった。
うん。
まごうことなき美少女、眼福眼福。
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