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裏庭は、由緒正しき金の鯉が住む濁り一つ無い池と川がある。
その下流がゴミ集積所となっているのだ。
「よし、これで今日の掃除は終わり、と」
オレは集積所にゴミを置き、両手をはたいた。
「ありがとうございます。手伝っていただいて」
「このくらい、なんてことないよ。それに麗香、この後クラス委員会に出るんだろ?」
麗香は我らが1-Fのクラス委員をしている。
立候補した所、反対意見が出るわけもなくものの数秒で決定した。
「でも、わざわざ・・・匠海さんがゴミ当番の時は言って下さいね。今度は私が手伝いますから」
「平気だって。オレ、どんなゴミの山でも一人で持ち上げて見せるさ」
すると麗香はちょっと口を尖らせた。
「ふ~ん。匠海さん、私と一緒じゃイヤなんだ」
「ほぇ?」
彼女は何を言っているのだろう?
「私と一緒に歩きたくないから、一人でゴミを持つなんて言うんだ」
「い、いや、そんな意味じゃないよ。麗香に面倒かけたくないから・・・」
オレが慌てて言い繕うと、麗香は口に手をあててクスクス笑い出した。
「もうっ冗談ですよ!ほんっと匠海さんってからかいがいがあるんだから」
「ってからかってたのかよ・・・」
オレは色々な意味でガックリと肩を落とした。
この前も『運命の出会い』だなんて冗談を言われたのだ。
「ふふっ、また見事にひっかかるとは思いませんでした」
「まったく・・・これじゃまるで昔から知ってる幼なじみみたいな掛け合いじゃないか」
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