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「え・・・?」
ん?
麗香の動きが止まった。
「昔・・・ですか・・・?」
何だろう。
『昔』という言葉に食付きが凄い。
何かを期待している目だ。
「え・・・う、うん。物の例えだよ」
「そうですか・・・幼なじみですか・・・♪」
みるみる語尾が明るくなっていくのはなぜだろう・・・
と思っていると、一瞬、デジャヴのような猛烈な既視感にみまわれた。
{公園や遊園地で遊んでいるオレ。隣には女の子が・・・}
「、、、ん。、、、さん。」
{まだ小さい頃のようだ。誰だろう。この女の子は・・・}
「匠海さんっ!!」
「え?あ、あぁ・・・オレは・・・いったい・・・」
「もう・・・大丈夫ですか?いきなりその場で固まってしまって・・・」
駄目だ。
出てこない。
誰なんだろう・・・
などと考え事をしながら歩き出したのがよくなかった。
オレは川辺にあった大きめの石につまづき、前に倒れこんだ。
「あ・・・」
勢いあまったオレの両腕が、そのまま麗香を押し倒し、オレの腕の間に追いつめられて倒れた麗香が挟まった格好になってしまった。
れ、麗香の顔・・・近すぎる・・・っ
二人の顔は、ちょっと背中を押されたらキスしてしまいそうな距離にあった。
麗香も気付いたらしく、ポッと頬を紅く染めて目を見開いた。
「た、匠海さん・・・」
離れなきゃ・・・麗香が恥ずかしがってる・・・
しかしオレは、どうしても麗香から顔を離す事が出来なかった。
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