3 ~boy talks girls~

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いや、むしろほんの少しずつ、彼女の方へ引き寄せられていた。 まるで麗香の魅力という引力に引かれているように・・・ 麗香もまた、その場から動こうとしなかった。 いけない・・・ こんな、いきなりキスしたら、いけない。 心ではそう思っても、オレは自分を止める事が出来ない! 可愛くて、魅力的で、優しい女の子。 そんな彼女の顔がすぐ触れられそうな位置にあった。 柔らかそうな唇が、どんなお菓子よりも甘そうに思えた。 麗香は、 驚いて動けないだけなんだ。 頼む、麗香・・・ 早く逃げてくれ・・・ オレを、突き飛ばしてくれ・・・! しかし麗香は、覚悟を決めたのか、それとも怯えたのか、そっと目を閉じる。 そ、そんな・・・ 麗香・・・こ、このままじゃ、オレ達・・・ ほんとに・・・ほんとに、キスしちまう・・・! 二人の唇と唇が、紙一枚の隙間しかないほどまで近づいて・・・ れ、麗香の胸、当たってるって! ふわふわして、柔らかでまるで・・・ 「う・・・に、肉まん・・・」 「え?」 し、しまった!声に出ていた!? そして意を決して一気に唇を近づけようとした時、オレの頭になにかが当たって跳ね飛んだ。 「いてっ」 「きゃ」 オレと麗香は同時に小さな悲鳴を上げた。 見ると、すぐ横の地面にジュースのアルミ缶が転がっている。 「大丈夫ですか!?匠海さんっ!」 「あぁ、大したことないよ。けど、なんで空き缶が・・・」 オレは飛んできた方向へ目を向ける。
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