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「自己紹介がまだだったね。オレは、このマンションに新しく入居する事になった桐生匠海です。よろしく。怪我はない?」
少女はまじまじとオレの顔をみて、
「まぁ・・・ではあなたがあの・・・」
「え?オレの事知ってるの??」
なんでだろう。嫌な噂ならお断りだ。引っ越してすぐにBADENDなんて父さん許さんぞ!
・・・父さんいないけど。
なんてヘヴィなジョークをかましていると、少女は
「はい。管理人の瀬戸内さんから、新しい方がいらっしゃると聞いてましたので」
と答えた。
瀬戸内さんは、父の知り合いであり、若くして桜欄学院の教頭のポストに座る女傑である。
オレの姉のような人だ。
まぁ、あんなにブラコンな姉なんていないだろうけど。
・・・話がそれたな。
「そうなんだ・・・ところで、君の名前は?」
言ってから後悔する。
これじゃただのチャラ男だ。
君かわウィ~ネ!じゃねぇんだよ!
少女はあたふたしながら答えた。
「す、すいません・・・名乗るならまずは自分からですよね・・・」
礼儀正しい美少女。
何とも眼福・・・じゃなかった、話を聞かなくちゃ。
「私の名前は佐久間麗香(さくま れいか)と言います。このマンションの20階にすんでおります」
佐久間?あり得ないけど、他にこんな名字見たこと無いし・・・まさか・・・
「あの・・・佐久間って、あの佐久間カンパニーの・・・?」
「はい。私の父は佐久間正義です。社長をしています」
佐久間カンパニーとは、
[針一本からモビルスーツまで・・・]
をモットーに掲げる超の着く大企業だ。
いや、モビルスーツは作れんだろ、なんて無粋なツッコミはいけないぞ。
どうりで礼儀正しい訳だね。
それにしても、麗香、か・・・可愛い名前だな・・・
「あなたも桜欄学院に?」
確かに、麗香は同い年位の容姿だった。
・・・凶悪に揺れる一部を除いて。
「う、うん。そうだよ」
すると麗香は嬉しそうにはにかみ、
「よかった・・・この道、お金持ちを狙う不審者が出るんです」
なるほど。
オレでも狙いそうな位のお金持ちが住んでいてもなんらおかしくない。
いや、狙わないが。
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