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だからここは私の場所。
私だけの場所なんだ。
「………」
そのはずなんだ。
だけど、どうして。
「あなた、どうしてここに居るの?」
いつの間にか私の傍に立っていた少女。
空のように青く輝く長い髪、少しつり上がった炎のように赤い瞳、雪のように白い肌。うちの学校の制服を着ているから、ここの生徒であることは間違いないのだろうけど。こんな生徒は見たことがない。日本人離れした容姿だから噂にならないはず無いんだけど。
「『どうして?』。それは私が聞きたい。『どうしてあなたがここにいるの?』」
「私が屋上に居たら変?」
私の問い返しに少女は深く息を吐き、心底呆れた様子で肩を落とす。
「狡猾にもヒトの形をして産まれてきたか。ここで始末してやろう、バケモノめ」
少女の手に握られた真っ白な刃は、鏡のように陽の光を反射して輝き、まるで聖なるものが放つ輝きのようだった。
刃は躊躇いなく私の左胸に落とされる。
私はその光景をまるで他人事のようにして見ていた。
噴水のように吹き出す鮮血は、屋上の床に飛び散り、徐々にコンクリートに滲んでいった。
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