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身体中の力と体液が抜けていく。
だるい。
四肢が自分のものでないかのように、頼りなく横たえている。
抜けていく。
あらゆるものが抜けていく。
こんなふうに魂も抜けていくのだろうか。
溢れ出ていた赤い命はやがて底をつき、次に私から湧いてきたもの。
「ああああああああああああああ、あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛………」
声、かも、分からぬ音が口から漏れた。
「あなたは可哀想。私なら、決してあなたたちをこんな風にしなかった。消えるのは辛いでしょう? 悲しいでしょう? 寂しいでしょう? だけど安心して。あなたはまだ産まれてすらいない。形すらない。ただの概念。あなたたちがヒトを知るには途方もない時間と執念が必要。だからあなたはここで消えなければならない。まだ早すぎる」
その言葉は私にとって意味のあるものなのだろうか。
ああ、体が液体のようだ。
萎んでいく。
まるで空気の抜けた風船のように。
消えてゆく。
私が。
私だったものが。
「……本当に、何を考えているんだか」
少女は去っていく。
私を殺して、表情ひとつ変えず。
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