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私は。
私は…。
私は?
「私は、なに?」
私は。
私は。
そう、私は。
むくりと体を起こす。
「死んで……、ない?」
身体中を調べてみるが、なんら変わったところはない。
「ゆ、夢…?」
と、呟いてみるが、それはすぐに違うと分かった。周りには大きな血溜まりができていて、私はそのど真ん中に座っている。制服にもその血は大量に付着していたし、左胸の辺りには鋭利な刃物で貫かれた痕があり、そこから下着と多少控えめな自分の胸が見えた。
ここで私は殺された。
あの不思議な少女に。
だけど私は生きている。
絶対に死ぬと思われるあの状況から生還している。
なぜ?
「バケモノめ」
あの少女の言葉が甦る。
私が、バケモノ?
今の状況がおかしいのは分かる。
でも、だからといって、見ず知らずの人間に、突然バケモノ扱いされたのには腹が立つ。
向こうの方こそ殺人鬼だ。
私を殺したくせに、表情ひとつ変えないなんて、どちらがバケモノなんだか。
――キーンコーン…
チャイムが鳴る。
そろそろ戻らないと、次の授業に遅れてしまう。私は屋上から降りた。
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