序章

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内容は驚くべきものであった。 指名手配犯の名前は柿崎或斗(あると)。 彼の母,陽子がまだ彼を妊娠していた時,彼の父,次郎が陽子とほぼ全く連絡を取っておらず,耐え切れなくなった陽子は,子を胎に宿したまま違う男と不倫をしてしまう。 それを知った次郎は陽子が或斗を産んでから陽子を殺し,罪悪感に苛まれた次郎は,彼自身も自殺を図り,亡くなったという。 残された柿崎或斗は,父方の祖父母に引き取られて育ったという。 柿崎或斗の経歴は,高校で都内の有名私立進学校に入学,現役で東京大学理科三類入学,その後地元の福島に戻り,病院を開き,院長を務めたのだという。 しかし院長を務めて二年,周囲の反対の声を押し切り,その座を退いてしまったという。 そして,そこからの行方は誰も知らないのだという。
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