序章

12/22
前へ
/22ページ
次へ
「シュワシュワ…?ああ、音鳴るやつね」 「そう。それ」 「確かになんか裕美子っぽいかも」 「それ、どういう意味」 「いや、なんかさ、最後の最後までしつこいじゃん裕美子。良い意味でね」 「なんか付け足しだよそれ」 「まあまあ」 柳美里が三島裕美子の頭をぽん、と叩く 「で、あの花火も最後の最後まで見所あるじゃん。音出して散ってくんだから。だから裕美子っぽい。」 「んーなんか納得できない」 三島裕美子が首を傾げる。 「よし決めた!あの花火、今度から裕美子号って呼ぶ!」 「ちょっと馬鹿じゃないの」 柳美里を肩で小突く。 「いいじゃん。あの花火も名前付けられて幸せだよ多分!」 「…まあいいよ別に」 「照れるなって」 「照れてないよ、もう」 三島裕美子が目を覚ましたのは、彼女の降りるバス停の二つ前のバス停であった。
/22ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加