序章

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「上杉さん、本当に家で寝た方良いですよ」 「ちげえ、マジなんだよ」 そう言って6人に携帯の画面を見せる。 送り主には確かに、美奈、と書いてあった。 文面は次のようなものだ。 「助けて。今福島の殺人鬼の家に連れてこられた。彼は今二階にいる。もうメールできないかも。警察お願い。」 文面から、彼女がいかに焦燥に駆られていたかが分かる。 「…どうしよう」 上杉伸之介は先程までの野獣とは一変、虫のような声を出した。 「どうするって、警察に連絡するしか」 「いや、まだ早い」 市川瞬の言葉を遮ったのは、神藤守であった。 「大体家っていうのも彼の家じゃないはずだ。家なら警察が張り付いているに決まっている。恐らく警察に連絡したところで場所も分からずおしまいだ。それに、犯人もすぐ逃げるはずだ」 「じゃあどうすりゃいいんだよ…」 「連絡を待つしかない」 口を開いたのは、Salty Sugarのドラマー、井上誠であった。 「多分美奈も不安だろう。だったら、もう一回隙を見付けて何か送って来るはずだ。それを待とう」 「待ってどうするんです?」 「必要な情報を聞き出せば良い」 「それってキツイですよね。だって犯人がメール見てるかもしれないし」 井上誠の口元が緩んだ。 「俺ら、音楽やってんだろ?」
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