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三島裕美子はベッドの中に居た。
しかし,目は瞑っていなかった。
家に到着すると,母はまだ仕事から戻って居ないようだった。
彼女の父親は今オーストラリアの日本語学校で教師を務めている。
日本に帰ってくるのは年に三回あるかないか,の頻度であった。
それから一人で夕飯を作り,風呂に入り,本を読み,今に至る。
先程の殺人事件と思われる光景が,もしかしたら草野詩織が被害者ではないかと思い,ベッドに入りながら彼女にメールを送った。
すぐに,返信が来たことが分かると彼女は安心した。
自分は文学部だから関係無いだろう,そう思っていたが,やはり目の前で起こると感じ方も危機感も変わってきていた。
「あれ,本当に殺人鬼の仕業なのかなぁ」
と,呟く。
しかし,誰も「違うんじゃない」と言ってくれる人がこの場に居ないことに改めて気付き,虚しくなった。
「ニュース,見てみようかな」
彼女はベッドから起き上がり,テレビを点けた。
時刻はまだ11時である。ニュース番組はまだやっている時間だ。
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