序章

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やかんの水を見る。 沸騰したようなのですぐ手元にあったインスタント食品にお湯を注ぐ。 2分30秒にキッチンタイマーをセットし、椅子に腰掛ける。彼の家庭ではなぜか3分待つインスタント食品は、2分30秒待つことが常識となっていて、彼自身もそれをさほど気にせず受け入れてきた。 しかし当然ながら彼は周りから「せっかちな人」という印象で通ってしまった。 しかしそれもさほど気にせず生活してきた。 携帯電話が鳴った。 まだ朝の7時にもなっていない。 一体こんな時間に誰だというのだ。 携帯電話を開くとそこには「上杉さん」の文字があった。 「あぁ…今日神藤さんの送別会だっけか…」 予定がある、と知った途端に体が重くなるようだった。 「はい、もしもし」 「おお、瞬、おはよう。今日の送別会なんだが、お前二次会行くか?」 「おはようございます。え、二次会なんてありましたっけ」
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